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18話 金色のイヌ耳剣士・感情で動く耳が愛らしい、13歳の新しい仲間

Author: みみっく
last update Last Updated: 2026-01-03 06:00:34

 そらが指差された方を見ると、テーブル席に一人の剣士が座っていた。彼女はティナと同じくらいの年齢の、まだ幼さが残る少女だった。しかし、頭にはピンと立った獣の耳が、腰からは長い尻尾が生えており、その美しくも野性的な見た目は、隠しようがない獣人族であることを示していた。

 ティナは、その獣人族の少女をじっと見つめ、どこか懐かしそうな、そして少し痛みを伴ったような表情を浮かべた。

「少し前の自分を見ている感じですね……」

 彼女は、そっと囁いた。

「ヘルプだけで暮らしていくのは不安ですよ。正式なパーティに入れれば安定した依頼を受けられますけれどね……わたし以上に差別があって難しいでしょうね。獣人族の見た目は、隠すことが難しいですから……」

 ティナの言葉一つ一つに、過去の彼女が経験してきた苦悩や孤独が込められていた。姿は人間でありながら差別を受けたティナでさえ困難だったのだ。姿を隠せない獣人族の少女が、安定した生活を築くことがいかに難しいか、想像に難くなかった。

 ティナの言葉を聞いたそらの胸は、ギュッと締め付けられるような思いがした。見た目だけで評価され、努力や実力が無視される世界の理不尽さが、彼の心に重くのしかかった。

「あの子を雇ってみても良いかな?」

 そらは、ティナの過去と重ね合わせ、その獣人族の少女を助けたいという気持ちが強くなっていた。彼はティナに問いかけた。

「はい。良いのではないでしょうか」

 ティナは即座に太鼓判を押した。

「わたしも何回かヘルプで同じパーティになったことがありますけど、良く働く真面目で良い子ですよ」

 ティナのお墨付きをもらい、そらは迷うことなく、ギルドマスターに軽く会釈をして、そのテーブル席へ向かった。

 ギルドマスターが、二人の間に立ち、間の言葉を挟んで紹介してくれた。そらは少女に向かい、以前ティナに話したのと同じ契約内容を、落ち着いた声で伝え、交渉を始めた。

「えっと……依頼内容は、子どもに剣術を教えること。待遇は、住み込みの三食付きで報酬付きです」

 少女は、その破格の待遇に目を見開き、驚きを隠せない様子だった。

「ただし、住み込みですが、ボクたちは移動することがありますので、一緒に同行していただくことになりますが……どうでしょうか?」

 そらの言葉に、女剣士は驚きで目を丸くし、そしてすぐに不安の色を滲ませた。

「え!? 良いんですか? 見ての通り、わたし獣人ですよ?」

 彼女は、自分の頭の耳を触り、不安そうに耳を少し垂らした。差別されることへの恐れが、その声に表れていた。

「教えてもらう子も、獣人ですから大丈夫ですよ」

 そらが、柔らかな笑みを浮かべながらそう言うと、彼女の顔がパッと明るくなった。垂れていた耳がピンと立ち、彼女の瞳には希望の光が宿った。

「わたし、レナって言うっす」

 少女は姿勢を正し、少し上ずった声で自己紹介をした。

「13歳で剣士をやってるっす。よろしくお願いします」

 彼女は深々と頭を下げた。そして、切羽詰まった状況を正直に打ち明けた。

「良かったら、今日からお願いしたいっす。あの……宿代が……もう、なくって……しまって……」

 語尾が小さくなるほど、彼女の不安と困窮が伝わってきた。

 その切羽詰まった状況に、隣にいたティナが深く共感するように口を開いた。

「あぁ~分かります……」

 ティナは、レナの気持ちが痛いほどわかるという表情で、力強く頷いた。

「手持ちのお金が少なくなると食費を削って節約して……次に節約といえば宿代ですよね……そうなると女性はギルドの椅子で寝かせてもらうんですよね……」

 ティナの言葉を聞いたレナは、まさにその通りだというように、強く頷いた。歳も近く、同じように差別と貧困に苦しんだ境遇が同じ二人。言葉を交わすうちに、すぐに仲良くなりそうな空気感が生まれていた。

 レナの外見は、陽光のような金髪のショートヘアで、瞳は明るい茶色をしていた。彼女は人寄りの犬の獣人族で、要は、可愛らしい金髪のショートヘアに犬耳が生えた、愛らしい少女だった。その犬耳は、不安な時は垂れ、喜ぶとピンと立つ、感情豊かな特徴を持っていた。

「それじゃあ、今日からお願いね」

 そらは、レナの切実な状況を理解し、快く彼女の願いを受け入れた。その言葉に、レナの顔が歓喜に輝き、彼女の犬耳がピンと上を向いた。

 二人は受付へ戻り、レナを正式に雇うこと、そして依頼を取り下げることを伝えた。ギルドマスターは満足げに頷き、そらにお礼の言葉を述べた。

 ギルドを出ると、そらはティナとレナを連れて、この街に来るたびに利用しているいつもの町の外れにある洞窟の方角へと向かった。獣人族のレナが街中で注目を集めることを避けるためだ。

 洞窟の陰に入り、人目がないことを確認すると、そらは空間に歪みを生じさせた。

「ちょっと驚くかもしれないけど、目を瞑ってて」

 そうレナに声をかけ、そらはティナとレナを連れて、一瞬にしてキャンプ場へと転移した。周囲の景色が一瞬で切り替わったことに、レナは驚きのあまり小さく息を呑んでいた。

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